2012/03/24

3.23 今宵、花火を打ち上げる

TEASIの松井一平さん、アキツユコさんと、
大すきな ゑでぃまぁこんのふたりとで結成された「わすれろ草」、
彼らが作ったアルバム「みみくりげ」、とてもよかった。

いつもすてきなD.I.Y.音楽を届けてくれるsweat dreams press より。
SDPのwebで試聴できるので聴いてみてくださいね。
ル=グウィンの言葉を引用した編集人の文章もいい。

わすれろ草、
その名の通り、ひさしぶりに目の前の世界を忘れて、
音楽の中にたゆたうことができた。
力を抜き、水の中に沈み、ゆっくりと身体が浮き上がる。
そんな運動のような音楽。

静かに、音が反響するのを耳にしながら、
見上げた暗やみに、花火があがる。






























わすれろ草=いま、ファンタジーにできること

川下に向かって 茶畑を越えて ビニルハウス越えて
防砂林越えて 灯台に向かって 国道を越えて レンガ造り越えて
海岸を越えて 蜃気楼に向かって 魚の群れ越えて
イルカ雲を越えて 光のピアノ弾いて
(「レム王子、旅に出る」より)


本作に収録された9曲を聴いて、ある人は幻想的といい、
またある人は童話のようだといい、さらにある人はサイケデリックだといい、
そしてある人は浮世離れしているといいます。
ひとつのメロディが別のメロディを生み、支え、寄り添い、からまっていく。
聴くたびに道中の新しい風物に気づかせ、違う場所にいざなう、そんな音楽。
そうして、彼らは彼らにしかできないやり方で夢の入り口を開いてくれました。
そういえば、作家のアーシュラ・K・ル=グウィンはこう言っています。


怠惰な精神の産物である使い回しのお定まりの設定ではなく、

ほんものの空想によって生み出された社会や文化を舞台とする
ファンタジー作品を見つけると、わたしはいつも、花火を打ち上げたくなります」。


冬の寒空に打ち上がる満天の花火、わすれろ草の音楽を聴いて頭に浮かぶのは、

つまり、そのような風景です。
さあ、空をあおぎ見、コートの襟を立て、彼らと一緒に旅に出ましょう。
この夢は、そして、このアルバムは、ほんものの空想によって生み出されました。