2012/04/25

4.24 胸からいずるものは

夏のようなひざしに身体がゆるむ。
夜は、春雷。
頁がめくるように表情が変わる。



日曜日、路地と人で聴いた、
カザフスタンのドンブラという弦楽器の音が耳に残っている。
ドンブラ、カザフスタンの心の象徴のようなものらしい。
カザフスタンの家庭では必ずあって、
カザフスタンの人の五人に四人はドンブラを弾けるという。
人が集まったら誰かが弾いて皆で歌い、
悲しみも喜びも、その調べ、その詩に託されるという。
幾人、幾年かのこころのうたが、昔も今もひとびとが歌っている。

ドンブラは人の身体になぞらえて、
糸蔵は頭、
ペグは耳、
ネックは首、
ボディーは胴、
二本の弦は、人のこころの善悪をあらわし、
ことば(音)は胸(ボディーの穴)から出る、という。


音は ことば、
その奏でる人の 胸の詩(うた)。
わたしが音に託すのは、ことばにならないことば。
声にならない声。
わたしは声にも、こどばにも自信がないので、
それがゆえにわたしは楽器を手にしているのかもしれない。



トランペットを吹いてみたけど、
まだ下手っぴ。
そしてきょうは思うように音がでない。
胸が音についてこない。


けれど、沈黙も音だと、きょう思った。
休符がない調べはない。


休符にがまんできなくなったら、
音、ことば が出るよね。

それを待って、もう少し、深呼吸。


もうすぐ、もうすぐ。