夏のようなひざしに身体がゆるむ。
夜は、春雷。
頁がめくるように表情が変わる。夜は、春雷。
日曜日、路地と人で聴いた、
カザフスタンのドンブラという弦楽器の音が耳に残っている。
ドンブラ、カザフスタンの心の象徴のようなものらしい。
カザフスタンの家庭では必ずあって、
カザフスタンの人の五人に四人はドンブラを弾けるという。
人が集まったら誰かが弾いて皆で歌い、
悲しみも喜びも、その調べ、その詩に託されるという。
幾人、幾年かのこころのうたが、昔も今もひとびとが歌っている。
ドンブラは人の身体になぞらえて、
糸蔵は頭、
ペグは耳、
ネックは首、
ボディーは胴、
二本の弦は、人のこころの善悪をあらわし、
ことば(音)は胸(ボディーの穴)から出る、という。
音は ことば、
その奏でる人の 胸の詩(うた)。
わたしが音に託すのは、ことばにならないことば。
声にならない声。
わたしは声にも、こどばにも自信がないので、
それがゆえにわたしは楽器を手にしているのかもしれない。
トランペットを吹いてみたけど、
まだ下手っぴ。
そしてきょうは思うように音がでない。
胸が音についてこない。
けれど、沈黙も音だと、きょう思った。
休符がない調べはない。
休符にがまんできなくなったら、
音、ことば が出るよね。
それを待って、もう少し、深呼吸。
もうすぐ、もうすぐ。