2012/05/11

5.10 われに 五月を































五月になると、この詩がふと、思い浮かんでくる。
とくにきょうみたいに、
太陽や、ひかりや、影や、雨や、雲が、
わたしの頭上で 渦を巻き、
木の葉を揺らし、
草の匂いを震わせる、
五月の午後には。


.....
萌ゆる雑木は僕のなかにむせんだ
僕は知る 風のひかりのなかで
僕はもう花ばなを歌わないだろう
僕はもう小鳥やランプを歌わないだろう
春の水を祖国とよんで 旅立った友らのことを
そうして僕が知らない僕の新しい血について
僕は林で考えるだろう
木苺よ 寮よ 傷をもたない僕の青春よ
さようなら

きらめく季節に
たれがあの帆を歌ったか
つかのまの僕に
過ぎてゆく時よ

二十才 僕は五月に誕生した
僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみる
いまこそ時 僕は僕の季節の入り口で
はにかみながら鳥達たちへ
手をあげてみる
二十才 僕は五月に誕生した

(寺山修司/五月の詩・序詞)




雨が降れば、
その雨の先を思う。
波のように動きながら、雨の粒を落としているその先を。
あの場所も、あの家も、あの人のうえにも、あの猫のうえにも、
降っているだろうか。


虹が出れば
虹の、その先を思う。
あの場所も、あの軒先も、あの子の足も、あの鳥の羽も、
あの弧のなかにいるのだろうか。




あれほど荒れた空が、
いまはもう、星が瞬いてる。
風に、星々が瞬きをしている。


路には肌寒い風がふいているけれど、
夜の匂いは夏に向かっているよ。

届いているだろうか、
それともこれから向かっているだろうか。

風の向きも、星のひかりも、
過去も未来もなく、縦横無尽でいいね。

そんな五月の夕べ。



週末には、空はどんなけしきをみせてくれるだろう。

昼には、そのなかに溶けるような、やわらかい音を吹こう。

夜には、小さな旋律をみつけよう。

おもったけれど、
メロディは、みえないお守りみたいなものだね。
夜道や、心細いとき、ここぞというとき、
ふと口ずさむと、何かが支えられる。
あれはなんだろう。
掌で包まれるような、、
やっぱり、お守りなんだと思う。


きょうはまだちょっと微熱があるので、このあたりで。
よい五月の宵に。